給与計算は、複雑な計算を正確に処理する必要のある難易度の高い業務です。「正しい手順で計算できているか?」「支給額に誤りはないか?」など、不安を抱えながら取り組んでいる方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、給与計算における注意点と、給与計算の基本的な方法を紹介します。さらに、給与計算におけるミスがどのような影響を及ぼすかも解説しますので、給与計算における基本を確認したい方はぜひご覧ください。
給与計算は、従業員に支払う給与を算出する、企業運営における基本的で重要な業務のひとつです。
まず、従業員の労働時間、役職、スキルなどに基づいた基本給に、時間外労働に対する残業手当、休日手当などの各種手当を加えて、そこから社会保険料や所得税などの控除額を差し引いて最終的な支給額を算出します。
給与計算は、労働基準法24条で定められている「賃金支払いの5原則」に基づいて行われなければいけません。賃金支払いの5原則では、「通貨で」「直接本人に」「全額を」「毎月1回以上」「一定期日おきに」支払うことを定めています。
給与計算を行う際には、以下の点に特に注意しましょう。
給与計算では、従業員の名前、住所、社会保険番号、給与額などの個人情報を取り扱うため、情報漏えいには十分な注意が必要です。
情報漏えいがあると、個人情報保護法違反で刑罰を受ける恐れがあります。例として、個人情報保護委員会からの報告徴収・立入検査に応じなかった場合や、報告徴収に対して虚偽の報告をした場合など、さまざまな条件が付きますが、違反した従業員に対して1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられ、情報漏えいした会社にも1億円以下の罰金が科せられる可能性があります。
課税支給額と課税対象額も、混同しやすいため気を付けましょう。
「課税支給額」が基本給に各種手当などを加えたものであるのに対し、「課税対象額」は課税支給額から各種社会保険料を控除したもののことを言います。
従業員の労働時間が所定労働時間を超過している場合、それが法定時間内残業なのか、法定時間外残業なのかの区別が必要です。
法定時間内残業は、所定労働時間を超えているものの、法定時間内の労働であるものを言います。たとえば、1日の所定労働時間が5時間の人が6時間働いた場合、差である1時間が法定時間内残業となります。
一方、法定時間外残業は、所定労働時間も法定労働時間も超えた状態の労働を指します。1日の法定労働時間は8時間なので、1日で10時間働いた場合、うち2時間が法定時間外残業にあたります。
法定時間内残業は通常の賃金の支払いでも法的な問題はありませんが、法定時間外残業は25%以上の割増賃金の支払いが義務付けられています。また法定時間内労働であっても、就業規則などに賃金割増に関する規定がないか確認しておいたほうが良いでしょう。
扶養家族の数によって所得税の控除額が変わるため、所得税を計算する際には、従業員の扶養家族の数を確認する必要があります。
扶養人数の変更は、年末調整で反映すれば問題ないとされています。しかし、たとえば年始の1月や2月に扶養人数の変更があった場合、年末調整における加減額はそれなりに大きなものになります。
そのため、従業員から扶養家族の増減の報告があった場合は、早期に給与計算に反映させましょう。
次に、給与計算の基本的な方法について説明します。給与計算は、主に3つのステップで行います。
まずは課税支給額を計算します。課税支給額とは、給与の中でも所得税などの税金がかかる部分のことを指します。課税支給額には、基本給のほかに時間外手当や休日手当といった各種手当が含まれます。
たとえば、月々の基本給が25万円、残業手当が5万円、住宅手当が2万円の場合、これらをすべて加えた32万円が課税支給額となります。なお、手当の中には非課税のものも存在するので、それらを誤って含めないよう注意しましょう。
控除額は、課税支給額から差し引くことができる金額です。雇用保険料、健康保険料、厚生年金保険料などが控除の対象になります。
控除額は、課税支給額とそれぞれの保険料率を掛け合わせることで計算できます。
最後に、課税支給額から控除額を差し引いた後、非課税の手当(月15万円までの通勤手当など)を加算した額が最終的な支給額となります。一般的に、この支給額を「手取り支給額」と呼びます。
課税支給額が32万円、控除額が5万円、通勤手当が1万円の場合、32万円から5万円を引いた27万円に、通勤手当の1万円を加えた28万円が手取り支給額となります。
給与計算におけるミスは、企業にとって深刻な問題を引き起こす可能性があります。最も大きなリスクは、労働者からの訴訟や税務調査による追徴課税などの法的なペナルティです。
給与計算において、計算ミスや記載ミスがあった場合、従業員の不信感を招きます。たとえ小さなミスであっても、それが何ヶ月も続いた場合、その影響は大きくなります。そして場合によっては、従業員が企業に対して訴訟を起こす可能性があるのです。
また、給与計算のミスは税務調査においても問題となります。税務当局が企業の給与計算に不整合を見つけた場合、企業は追徴課税を受けます。
給与計算は、従業員の生活を支える基盤となる重要な業務です。正確な給与計算を行うことで、企業としての信頼性を高め、従業員の安心と満足を実現できます。
さらに給与明細を電子化することで、給与計算の効率化やミスの削減につながることもあります。
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